【第3回】なぜ考えることは難しいのか - 思考の質を上げるための「問い」
論理的思考力は、ビジネスパーソンにとって必須のスキルだと言われますが、「自分には関係ない」「難しそうだから避けたい」と感じている方も多いのではないでしょうか。
しかし、VUCA時代と呼ばれる先行き不透明な現代において、論理的思考力の重要性は増すばかりです。あなたの思考の質が、仕事の成果を大きく左右すると言っても過言ではありません。
例えば、自分の考えをまとめて人に説明する際、ついつい感情的になったり、要点がずれてしまったりして「結局何が言いたいの?」と聞き返されたことはありませんか。また、会議で議論が紛糾したとき、本質的な問題の所在が見えず、堂々巡りの議論が続いたという経験はないでしょうか。
論理的思考力は、そんな悩みを解決し、ビジネスの難所を乗り越えるための確かな羅針盤となります。
この連載では、身近なビジネスシーンで活きる論理的思考力の鍛え方を、具体的な事例を交えながらご紹介していきます。論理的に考えることが苦手だと感じている方も、この連載を読み進めることで、思考の引き出しを増やすヒントが得られるはずです。
連載第3回目のこの記事では「考えるとは何か」「思考の質を上げるための問いの設定方法」について詳しく解説します。論理的に考えるのが苦手の方や、思考の質を高めたい方は是非、最後までご覧ください。
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思考力を高めるカギは「問い」にある
皆さんは「考える」と聞いて何をイメージしますか。難しい問題を解決すること、次々と新しいアイデアを生み出すことなど、人によって思い浮かべるイメージは様々だと思います。考えることは、私たちの日常生活に深く根ざしていますが、実際に「考える」とはどのような行為なのでしょうか。
日々、私たちは多くの思考を巡らせています。アメリカ国立科学財団のある研究によると、人の脳は1日1.2万〜6万回もの思考を行なっているそうです。しかし、その一方で、考えることに苦手意識を持つ人も少なくありません。それはなぜでしょうか。
実は、私たちが考えているように見えて、実際には考えていないことが多いのです。
この記事では、「問い」と「答え」の有無に着目して、思考を4つパターンに分類し、「考える」を「問いに答えること」と定義します。言い換えると、問いを立て、その問いに対して意識的に答えを出すプロセスが「考える」という行為だと捉えます。
先の研究では、1日の思考のうち、95%は前日と同じ内容の繰り返しであることも明らかになっています。私たちは無意識のうちに同じ思考を繰り返していることが多いのです。そのような無意識の思考の大半は漠然としたもので、明確な問いを意識することはありません。
では、私たちが日常的に『考えた』と感じていているものは何なのでしょうか。この記事では、明確に問いを意識することなく、漠然とした思考がただ心に浮かんでいる状態を「思う」と表現しています。つまり、「考える」と「思う」の大きな違いは、問いに意識を向けているかどうかなのです。
私たちは多くの思考を巡らせているにも関わらず、考えることに苦手意識を持つのは、問いを意識できていないことが原因だと考えられます。思考の質を上げるためには、今、自分が答えを出すべき問いは何か、自分が直面している問いは何なのかを意識することが第一歩となります。
この記事では、「考える」ことについての定義から、問いの質を上げるためのポイントまで詳しく解説します。「考える」を「問いに答えること」と捉え直すことで、考える力を養い、問題解決力やコミュニケーション力を向上させるヒントが得られるはずです。
「考える」の定義
考えるとは「問いに答えること」
皆さんは、「考えるとは何か」と問われたらどう答えますか。日々、多くの事柄について考えているはずなのに、具体的に説明するのは意外と難しいのではないでしょうか。
ここでは、考えるとは「問いに答えること」とシンプルに定義します。
つまり、私たちが考えるとき、どこまで意識的に行っているか別として、何らかの問いに対して答えを出そうとしているのです。例えば、朝起きて、今日着ていく服装に迷うとき、これは「今日の天気に合った服装は何か」という問いに対する答えを出そうとしているわけです。
しかしながら、私たちが日常的に『考えた』と感じるシーンを振り返ってみると、必ずしも明確な「問い」が存在しているわけではありません。あるいは、その時点で「問い」の存在に意識が向いていないことがあります。
会議中にふと時計を見て「あと15分で終わりか」と気づいたとき、「会議が終わったら、◯◯さんをつかまえて、新しいプロジェクトについての打ち合わせをしよう」などと考えるかもしれません。はたして、これは本当に『考えた』と言えるのでしょうか。もし『考えた』とするなら、どのような問いに対して答えたのでしょうか。
それは「どのタスクを優先して終わらせるべきか」という具体的な問いへの答えなのか、それとも「今日の午後をどう過ごすか」というより広範な問いに対する答えなのか。この瞬間、自分がどんな問いと向き合っているのか意識していないことが多いと思います。
私たちが『考えた』と感じる瞬間、実は明確な問いが存在していないことがあります。ただ答えがパッと脳裏に浮かんだことを『考えた』と感じているのです。
「問い」と「答え」から見える4つの思考パターン
先ほどで述べたように、「考える」とは「問いに答えること」です。では、私たちが普段『考えた』と感じているのは、本当に「考えている」のでしょうか。
以下のように「問い」と「答え」の有無に着目して、思考のパターンを4つに分類してみます。日常生活やビジネスシーンにおける問題解決の事例を交えながら、「考える」の定義との関連性を確認していきます。
「問い」も「答え」もある状態: これがこの記事で定義する「考える」という状態です。具体的な問題(問い)に対して目的意識を持って解決策(答え)を導き出すプロセスを指します。例えば、「今日の休日をどう過ごすか」という問いに対して、「家族とショッピングに行く」「部屋の掃除をする」といった答えを導き出す場合や、ビジネスシーンでは、「売上を20%アップするには何をすべきか」という問いに対して、「新製品を開発する」「新規営業に力を入れる」といった答えを導き出す場合が該当します。
「問い」はあるが、「答え」がない状態: これは「悩む」と表現され、解決策(答え)が見つからない問題(問い)に頭を悩ませている状態を指します。日常生活では、「今月の予算が足りない。どう工面しよう」という問いに対して答えが見つからず悩む場合や、ビジネスシーンでは、「不採算事業をどうするべきか」という問題に直面し、撤退するべきか再建を目指すべきか決断できずに思い悩む場合などが該当します。
「問い」はないが、「答え」がある状態: これは「思う」と表現され、具体的な問題意識なし(問いの設定なし)に漠然とした思考が心に浮かんでいる状態を指します。前述した「会議中にふと時計を見て『あと15分で終わりか』と気づいたとき」の例のように、問いが明確でないため、思考は定まらず、ふわっとしたアイデアや感情が漂うだけの状態です。日常生活では、ぼんやりと空想にふけるような状態がこれに当てはまります。
「問い」も「答え」もない状態: これは「思考停止」と表現され、何も考えずに時間がただ過ぎ去るだけの状態を指します。日常生活では、ぼーっとテレビを見ているだけで何も考えていない状態や、ビジネスシーンでは、突然の事態にパニックに陥り思考が回らなくなったり、長時間の会議で疲れ果てて頭が働かなくなったりする場合がこれに該当します。
このように整理してみると、私たちが普段『考えた』と感じているのは、実際には「思う」であることが多いことがわかります。
「考える」ためには、まず「問い」を意識することが重要です。問いを意識することが、「思う」の状態から脱却し、「考える」の状態へと移行するためのカギとなります。具体的には、自分が直面している問題や達成したい目標を明確にすることから始めると良いでしょう。問いを立て、その問いに答えを出すプロセスを意識的に繰り返すことで、自然と思考の質を高めることができます。
「問い」の欠如が招く問題
他方で、考えるべき場面において、「問い」が欠如していることが原因で問題が生じるケースがあります。特に、ビジネスシーンでは、多くの場合、複数の人が関わる協働作業となるため、それが致命的な問題となる場合があります。
問いが欠如しているという状況には大きく2つのパターンがあります。
1つは、答えを出すべき問いが曖昧で具体性に欠けているパターンです。答えを出すべき問いが明確になっていないために、メンバー間で認識がズレ、適切な答えを導き出せない状態です。
もう1つは、答えを出すべき問いに対する意識が欠けているパターンです。メンバー間で自分たちがどんな問いに向き合っているのかを共通認識できていないために、意見の対立や齟齬が生じる状態と言えます。
これら問いの欠如によって、ビジネスを円滑に進める上でどのような問題が起こり得るのでしょうか。実際の事例を通じて具体的に見ていきましょう。
問いの曖昧さがもたらす弊害
まずは答えを出すべき問いが曖昧で具体性に欠けていることで起こる問題について説明します。
新製品プロジェクトに関するA部長とBさんが会話をしています。
Bさん、今度の新製品プロジェクトだけど、
市場調査の結果はどうだった?
はい、市場調査の結果をまとめたレポートがこちらです
(レポートを手渡す)
(レポートに目を通しながら)
なるほど、潜在的な需要はありそうだね。
でも競合他社の動向はどうなっている?
え、競合他社についてですか。
すみません、そこまでは調べが及んでいませんでした。
そうか。あと、想定価格帯はどうなっているの?
製造原価を考えると採算は取れそう?
価格帯についても、まだ具体的な算出はできていません。
申し訳ありません。
わかった。じゃあ、早急に追加調査してくれ。
それから、自社製品の優位性をアピールするための
販促戦略についても考えをまとめておいてほしい。
できるだけ早めに頼むよ。
承知しました。頑張ります。
A部長から新製品プロジェクトに関して様々な質問をされていますが、Bさんはどの質問に優先的に答えたら良いのでしょうか。
- 競合他社の類似製品の有無や性能、価格帯
- 想定される売価と製造原価のバランスによる収益性
- 自社製品の優位性をアピールする販促戦略
もちろん、全ての質問に答えられるのであれば、答えるべきです。しかし、限られた時間内で全ての質問に完璧に答えることは現実的に難しいかもしれません。全ての質問に答えられないとしたら、優先順位をつける必要がありますが、どう優先順位を決めたら良いのでしょうか。
優先順位を決めるには、A部長の質問の背景にある真の目的を考えることが重要です。ここで皆さんに考えていただきたいことは、「A部長が本当に知りたかったことは何か」です。A部長の質問の核心を捉えられなければ、たとえ全ての質問に答えたとしても、A部長は納得せず、さらなる質問を投げかけてくるかもしれません。
あの場面で、A部長が本当に知りたかったのは、「新製品を市場に投入すべきかどうか」です。その是非を判断するために、Bさんに様々な質問をしていたのです。つまり、Bさんは、A部長がその是非を判断にするにはどんな情報が必要かを考えて報告する必要があったということです。
BさんがA部長から投げかけられた質問(問い)の核心を捉えないまま考え始めても、適切に回答できる可能性は低いでしょう。たとえ期待に沿った報告ができたとしても、それは偶然の産物と言えるかもしれません。
何かを考え始める際にまず行うべきことは、答えを出すべき問いを明確にすることです。「考える」という行為が「問いに答えること」である以上、答えを出すべき問いが定まらなければ、考えることは始まりません。問いを明確にすることこそが、適切な答えを導く第一歩だと言えます。
もし何を考えるべきか迷ったら、今、自分が答えを出すべき問いが何かを定めることから始めてみてください。
問いへの意識不足が引き起こす議論の停滞
次に答えを出すべき問いに対する意識が欠けていることで起こる問題について説明します。
ある営業会議での出来事です。
Cさんは「顧客回りを増やし、顧客の課題を深掘りすべきだ」と主張し、Dさんは「新規顧客獲得のためのプロモーション活動をすべきだ」と反対意見を述べました。売上目標達成という共通の目的があるにも関わらず、両者の主張(答え)はかみ合いませんでした。
こうした意見の対立は、日常生活はもちろん、ビジネスシーンにおいてもよく見られます。なぜ両者の主張(答え)はかみ合わないのでしょうか。
この問題を解決するためには、CさんとDさんがそれぞれどのような問いを設定しているのかを明らかにする必要があります。なぜなら、設定している問いが異なれば、当然、導き出される答えも異なってくるからです。
議論が噛み合わない状況では、登場人物それぞれの現状認識、問い、主張(答え)を整理することが有効です。Cさん、Dさんそれぞれを整理してみましょう。
このように整理してみると、CさんとDさんが設定している「問いの設定(問題設定)」が異なっていることが分かります。
問いを意識せずに議論すると、設定している問いの違いに気づかないまま議論が進んでしまい、結果的に議論が発散し、本質的な問題解決に至らないということです。
では、どうしたらもっと建設的な議論ができるでしょうか。
おすすめの方法は、議論の冒頭で各自が考える問題の本質は何か、その問題を解決することで何を実現したいのかを共有する時間を設けることです。つまり、議論を始める前に、それぞれの現状認識と、答えを出すべき「問い」を明確にするのです。そうすることで、同じ問題(問い)に取り組んでいるという共通理解が生まれ、より効果的な議論が可能になります。
時間的制約などで議論の冒頭に時間を設けることが難しい場合は、会議の前に各自の問いを共有するための資料を準備するのも1つの方法です。
もしそれでも議論が平行線をたどるようであれば、ファシリテーターが議論を一旦中断し、それぞれの主張を整理してみるのも効果的です。
先ほどの営業会議の例で考えてみましょう。議論が平行線をたどっていた時、もしファシリテーター役の人が以下のように切り出していたらどうでしょう。
今の議論を聞いていると、既存と新規どちらの顧客により注力すべきか、という点で意見が対立しているように見えます。しかし、本質的にはサービスに対する認識の差が根底にあるのではないでしょうか。Cさんは『サービスそのものに問題がある』と考え、Dさんは『サービス自体には問題がないが、その魅力が伝わっていない』と考えているように感じました。まずは、この点について認識を合わせる必要があると思います
もしここまで核心をついた切り込みことができなくても、例えば以下のように投げかけるだけでも議論に一石を投じることができます。
今の議論を聞いていると、Cさんは既存顧客の満足度を上げることを重視し、Dさんは新規顧客を獲得することを重視しているように感じました。つまり、売上目標達成のために、既存顧客と新規顧客どちらにより注力すべきか、という問題について議論しているのだと思います。お二人ともこの認識で合っていますか?
「既存顧客と新規顧客、どちらにより注力すべきか」という問題設定がなされることで、自分たちがどのような問いに向き合っているのかを意識できるようになります。それに伴って、「サービスは顧客に支持されているのか」「そもそも売上目標はどのように設定されたのか」「目標達成のために人員をどう配分するのが最適か」といった新たな問いが生まれてくる可能性があります。
一度、自分たちが向き合っているか問いが明らかになれば、議論はずっと建設的なものとなります。
議論がかみ合わない場合は、一度議論を途中で止めてでも、対立の背景にある根本的な問いの違いに目を向けることが重要です。表面的な対立点だけに着目するのではなく、その奥にある現状認識や問いを明らかにすることで、議論をより建設的な方向へ導くことができるのです。
もし、考えることを苦手に感じる人がいたら、今、自分が答えを出すべき問いは何か、自分が直面している問いは何なのかを意識してみてください。
質の高い問いを設定するためのポイント
何かを考え始めるときに、まず行うべきことは問いを明確にすることです。「問い」は考えることのスタート地点なので、必ず問いの設定から始まります。問いの質を上げることができれば、自ずと考えが深まるようになります。
では、どのような問いを立てると良いのでしょうか。問いの質を上げるためには、以下の2つのポイントを意識することが重要です。
1つは、問いを具体的に設定することです。例えば、「シェア率を伸ばすにはどうしたら良いか」という問いでは、どの程度シェア率を伸ばしたいのか、いつまでにその目標を達成したいのかが不明確です。一方、「今期末までに市場シェア率を現在の5%から10%に伸ばすにはどうしたら良いか」という問いは、数値目標と期限が明確になっています。このように問いを具体的に設定することで、考える方向性が定まり、適切な答えを導き出しやすくなります。
もう1つは、問いの背景を明確にすることです。問いを立てる際は、なぜその問いを立てる必要があるのか、問いに答えを出すことで何を目指しているのかを明らかにすることが重要です。例えば、「今期末までに市場シェア率を現在の5%から10%に伸ばすにはどうしたら良いか」という問いの背景として、「◯◯市場でシェアNo.1を獲得し、ブランド認知度を高めるため」「今後拡大が見込まれる▲▲市場で、先行者利益の獲得を目指すため」などの目的を明確にします。この背景を明確にすることで、問い自体の意味合いがより明確になり、適切な答えを導き出しやすくなります。
質の高い問いを設定することで、目的が明確になり、モチベーションを維持しやすくなります。さらに、自然と思考の質が上がり、新たなアイデアが生まれる可能性が高まります。
特にビジネスシーンにおいては、答えを出すべき問いを明確にすることが重要です。なぜなら、ビジネスにおける問題解決は、多くの場合、複数の人が関わる協働作業だからです。チームメンバー全員が同じ問いを共有することで、チームの方向性を揃えることができるのです。
例えば、新商品の開発プロジェクトを進める際、「3ヶ月以内に月間売上1,000万円を達成するには何が必要か」という問いを立てたとします。この問いは、プロジェクト全体の目標を示しており、チームメンバー全員がこの目標を共有することで、大局的な方向性を揃えることができます。
この大きな問いをそのままチームの具体的なアクションに落とし込むのが難しい場合は、この大きな問いを各チームの役割に応じて分解していくことが有効です。マーケティングチームなら「ターゲット顧客のニーズを把握し、効果的な販促施策を打ち出すには何が必要か」、営業チームなら「新規顧客の開拓や既存顧客との関係強化のために、どのような営業戦略が有効か」といったように、各チームが自分たちの役割に即した具体的な問いを立てることで、アクションプランを立てやすくなります。
各チームが立てる個別の問いは、大元の問い(プロジェクト全体の目標)から派生しています。つまり、個別の問いの背景には、常に大元の問いがあるのです。ですから、各チームが具体的な問いを立てる際は、その問いがプロジェクト全体の目標にどう貢献するのかを意識することが重要です。これは、先に述べた「問いの背景を明確にすること」そのものです。全てのチームが目標を共有し、その達成に向けて連携することで、組織としての問題解決力が高まるのです。
このように、考え始める前に問いを具体的に設定し、その背景を明確にすることは、組織の問題解決力を高めるための重要なプロセスだと言えます。考え始める前に、一度立ち止まり、問いを立てる習慣を身につけることで、ビジネスにおける問題解決力を高めることができるようになるでしょう。
おわりに
この記事では、「考える」を「問いに答えること」と定義し、問いを意識することの重要性について解説してきました。
私たちは日々、様々な思考を巡らせていますが、その多くは漠然としており、明確な問いを意識していないことが少なくありません。そのため、考えているつもりでも、なかなか考えが深まらないのです。この記事では、そうした状態を「思う」と表現しました。「思う」の状態から脱却するためには問いを明確にすることが重要です。
特に、ビジネスシーンにおいては、問いが曖昧だったり、問いへの意識が欠如していたりすることで様々な問題が生じます。会議での議論が平行線をたどったり、本質的な問題解決に至らなかったりするのは、そうした「問いの欠如」が原因であることが少なくありません。
建設的な議論を行うためには、議論の冒頭で、各自の現状認識や問いの設定(問題設定)を共有することが有効です。表面的な意見の対立ではなく、その背景にある問いの違いに目を向けることが、議論を建設的な方向へと導くのです。
そして、より良く考えるためには、問いの質を上げることが重要です。良い問いとは、具体的であり、背景が明確なものです。このような問いを立てることで、考える方向性が定まり、適切な答えを導き出しやすくなります。
ビジネスにおける問題解決は、多くの場合、複数の人が関わる協働作業となります。そのため、問いを立てて共有し、それを役割に応じて分解・具体化していくことが求められます。チームメンバー全員が同じ問いを共有することで、アクションの方向性を揃えることができるのです。
「考える」を「問いに答えること」と捉え直し、問いを意識する習慣を身につけることで、考える力を養い、問題解決力やコミュニケーション力の向上に繋がります。日々の生活やビジネスの中で、自分が向き合っている問いは何なのかをぜひ意識してみてください。そうすることで、より深く、より質の高い思考ができるようになるはずです。
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