【第2回】ビジネスで求められる論理的コミュニケーションとは


ビジネスの成果を左右する「論理的コミュニケーション」

コミュニケーションで必要とされる論理的思考

論理的コミュニケーションの必要性

論破することの問題点

相手

この提案では、リスクが高すぎます。もっと慎重に検討すべきだと思います

あなた

リスクがあることは百も承知です。でも、それ以上に、このままでは会社の未来はありません。あなたの意見は、現状維持に甘んじているだけで、何の解決策にもなっていません。私の提案に反対するのは、無責任だと言わざるを得ません

論理的コミュニケーションのポイント

具体的なイメージを持って伝える

良い例

我が社の「ラグジュアリーシャンプー」は、20代女性の高い支持を集めています。「髪がサラサラになる上に、高級感のある甘い香りで癒される」と絶賛されています。昨年の売上データでは、20代女性の購入率が全体の60%を占めています。来季は、人気女性誌を中心に広告出稿を強化して、爽やかな仕上がりと香りの良さを訴求していきたいと考えています

悪い例

我が社の製品は、ターゲット層のニーズを的確に捉えており、今後の売上増大につながるはずです。○○という調査データが示すように、我が社の製品は競合他社と比べて優れた性能を有しているからです。また、□□というマーケティング理論に基づけば、我が社の製品は市場のトレンドに合致しており、需要が見込めます。加えて、我が社の製品は××という点で差別化されており……

やさしく、分かりやすい言葉を使う

良い例

うちの主力商品Aは、20代女性を中心に大人気商品となっています。彼女たちは、商品Aを「オシャレで、お手頃な価格」と言っています。昨年の売上データを見ると、20代女性の購入率は全体の60%を占めています。この傾向を踏まえ、来季は女性誌へ広告を出して、商品Aの魅力をもっとアピールしていきたいと思っています

悪い例

我が社の製品は、ターゲット層のラテントニーズを喚起するプロダクトイノベーションを実現しています。また、業界のデファクトスタンダードとされる□□基準をクリアしており、カスタマーデライトを創出することが可能です。加えて、我が社の製品は、××というコアコンピタンスを活用しており、競合他社の製品とのプロダクトディファレンシエーションを……

ストーリーの展開を明確にする

良い例

我が社の主力商品Aは、20代女性に大きな支持を集めています。昨年の売上データでは、20代女性の購入率が全体の60%を占めました。彼女たちが求める「おしゃれで手頃な価格」という特長を備えているからです。この強みを活かし、来季は女性ファッション誌への広告を強化し、商品Aのデザイン性の高さとリーズナブルな価格を全面に打ち出します。これにより、20代女性により効果的にアピールでき、売上のさらなる拡大が期待できます

悪い例

我が社の主力商品Aについてですが、昨年の売上データを見ると、20代女性の購入率は全体の60%を占めています。そのため、来季は女性誌への広告出稿を強化し、商品Aの魅力をさらにアピールしていくことを提案します。20代女性に支持されているのは、彼女たちが商品Aを「おしゃれで、かつリーズナブル」と評価しているからです。したがって、女性誌への広告を出稿することで、さらに多くの20代女性に商品Aの魅力を……

主張とそれに対する根拠をシンプルに説明する

良い例

女性ファッション誌への出稿を強化することを提案します。商品Aの購入者の60%が20代女性で、90%以上が『デザインが良い』『価格が魅力的』と回答しているためです。また、類似商品Bが女性ファッション誌で広告を出稿した結果、売上が30%伸びた事例もあります。商品Aは商品Bよりも魅力的な特長を備えているため、女性ファッション誌での広告展開は売上拡大に直結するはずです

悪い例

来季の広告戦略では、女性ファッション誌への出稿を強化することが最適だと考えています。商品Aは20代女性に支持されているブランドだからです。商品Aは、他の商品とは違った魅力を持っており、そのイメージに合った媒体を選ぶことが重要です。ファッション誌は、商品Aのコンセプトにぴったりだと思います。私の経験からも、女性ファッション誌への広告は効果的だと……

おわりに

論理的コミュニケーションは、ビジネスシーンで成果を出すための必須スキルです。プロジェクトの方向性を決める会議、後輩の教育、クライアントへの提案など、様々な場面で相手の理解と協力を得る必要があります。

論理的にコミュニケーションをすることで、相手の理解と協力を得られる可能性が高まり、業務をスムーズに進められます。それがひいてはビジネスの成果につながるのです。

繰り返しになりますが、ビジネスにおける「論理性」とは、相手を論破したり、理屈っぽく話したりすることではありません。むしろ、相手の立場に立ち分かりやすく伝えることに重きが置かれています。

論理的コミュニケーションのポイントを4つを紹介しました。

これらのポイントを意識し、日々の業務の中で実践していくことが大切です。ただし、論理的であろうとするあまり、冷たい印象を与えてしまわないよう配慮することも必要でしょう。

論理的コミュニケーションは一朝一夕に身につくスキルではありません。相手の理解と納得を得るためには、自分の考えを整理し、論理的に説明する力が必要です。そのためには、日頃から論理的思考を意識し、トレーニングを積むことが重要です。

例えば、自分の意見を主張する際、常に「なぜそう考えるのか」「根拠は何か」を意識してみましょう。また、他者の意見を聞く際は、「論点は何か」「主張と根拠が結びついているか」を考えてみましょう。このような習慣を身につけることで、論理的思考の力が徐々に養われていきます。

同時に、相手の立場に立って考えることも忘れてはいけません。相手の背景や考え方を理解し、そこに共感することで、より説得力のあるコミュニケーションが可能になります。

論理的コミュニケーションは、一人ひとりが意識し、実践していくことで、組織全体のコミュニケーションの質を高めることができます。それは、ビジネスの成果につながるだけでなく、働きやすい職場環境づくりにも寄与するはずです。

この記事で紹介した論理的コミュニケーションのポイントを、是非、日々の業務の中で活かしてみてください。



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